web広告の法的規制
1.本規制の対象となるウェブ上のページ
インターネット上の医療機関のHP全般を対象とするものである。医師個人のブログ等は原則として対象外だが、当該医療機関のホームページにリンクやバナーが張られているなど、医療機関のHPと一体的に運営されているような場合は、利用者を不当に誘引することがないように十分注意しなければならない。
2. HPに記載すべきでない事項
- (1)内容虚偽、または真実であることを証明することのできない事項
例:
- 加工・修正した術前術後の写真等の掲載
- 「当院では、絶対安全な手術を提供しています」
- 「どんなに難しい症例でも必ず成功します」
- 「一日で全ての治療が終了します」(治療後の定期的な処置等が必要な場合)
- 「○%の満足度」(根拠・調査方法の提示がないものあるいは調査が雑に行われたもの)
- 「当院は、○○研究所を併設しています」(研究の実態がないもの)
-(2)他との比較により自らの優良性を示そうというもの
例:
- 「○○の治療では、日本有数の実績を有する病院です」
- 「当院は県内一の医師数を誇ります」
- 「芸能プロダクションと提携しています」
- 「著名人も○○医師を推薦しています」
-(3)内容が誇大なものまたは医療機関にとって都合がいい情報等の過度な強調
①任意の専門資格、施設認定等の誇張または過度な協調
例:
- 「知事の許可を取得した病院です」
- 「医師数○名」(意図的に古い情報等を掲載しているもの)
- 「○○学会認定医」(活動実態のない団体による認定)「○○協会認定施設」(活動実態のない団体による認定)
- 「○○センター」(医療機関の名称又は医療機関の名称と併記して掲載される名称)
②そのほか、誇大広告にあたるもの
例:
- 撮影条件や被写体を変えるなどして、手術・処置等の効果・有効性を強調するもの
- 医療機関にとって便益を与える体験談の強調
- 提供される医療の内容とは直接関係ない事項による誘引(「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」)
-(4)早急な受診を過度にあおる表現または費用の過度な強調
例:
- 「ただいまキャンペーンを実施中」
- 「期間限定で○○療法を50%オフで提供しています」
- 「○○100,000円50,000円」
- 「○○治療し放題プラン」
- 「顔面の○○術1か所○○円」(ホームページの写真が、例えば5か所施術した写真であるような場合)
-(5)科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度にあおるなどして、医療機関への受診や特定の手術・処置等の実施を不当に誘導するもの
例:
- 「○○の症状のある二人に一人が○○のリスクがあります」「こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください」
- 「○○手術は効果が高く、おすすめです。」
- 「○○手術は効果が乏しく、リスクも高いので、新たに開発された○○手術をおすすめします」
-(6)公序良俗に反するもの
わいせつ、残虐表現、差別を助長するもの。
-(7)医療法以外の法令で禁止されるもの
- 薬事法
医薬品・医療機器の名称。医薬品等の効能・効果、性能等に関する虚偽・誇大広告。承認前の医薬品・医療機器についての名称や効能等についての広告。 - 健康増進法
健康食品について、その効果を著しく事実に相違、または人を誤認させるような表現。 - 景表法
サービス内容や取引条件について、他の事業者より著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害する恐れのあると認められる表示など。 - 不正競争防止法
不正の目的をもって消費者にサービス内容の質等を誤認させる表示、虚偽表示など。
HPに記載すべき事項(自由診療を行う医療機関限定)
- 通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項
治療の名称や最低限必要な治療費用だけを広告するのではなく、通常必要とされる 治療内容、平均的な費用や治療期間・回数を広告する必要がある。その場合も閲覧者に見やすいように掲載する必要がある。 - 治療等のリスク、副作用に関する事項
治療のリスクや副作用などの情報に関しても分かりやすく掲載する必要がある。